質問・相談・リクエストはこちら

骨格によるスクワットフォームの違いと対策【体幹・大腿・下腿・股関節】

骨格によるスクワットフォームの違い

アオクマ

こんにちはアオクマ(@bluezzly.power)です。

「トレーニングのフォームは骨格によって変わる」といいますが、

今回はその一例を図解で解説してみます。

前提

このページで解説しているスクワットに有利・不利というのは、如何に高重量を楽に挙げられるかということとします。

スクワットのフォームは骨格によって変わる

スクワットのフォームは骨格によって変わる。

骨格の中でも特に以下の点が大きく影響する。

  • 体幹(胴体)の長さ
  • 大腿部(太もも)の長さ
  • 下腿(脛)の長さ
  • 股関節の形状 (頚体角、前捻角、寛骨臼の深さ・向き)

体幹長と下肢長の比率によるスクワットフォームの違い

スクワットは胴長短足の方が有利

体幹の長さとスクワットフォーム比較
※身長は3パターン共同じ
体幹の長さによるスクワットの有利・不利
  • 有利:体幹が長く下肢が短い→体幹前傾↓・しゃがむ深さ↓
  • 不利:体幹が短く下肢が長い→体幹前傾↑・しゃがむ深さ↑

ご覧の通りスクワットは胴長短足の方が有利。

逆に体幹が短く下肢が長い場合は不利になる。

特に大きく変わるのは股関節屈曲角度(体幹の前傾角度)だ。

体幹が長いと股関節屈曲角度は小さく前傾が少なくなっている。

一方で体幹が短いと股関節屈曲角度が大きく前傾姿勢が強くなっている。

体幹が長く下肢が短い場合のスクワットフォーム

体幹が長く下肢が短い場合のスクワットフォーム

体幹が長いとスクワットでミッドフット上に重心を維持するのに股関節屈曲・体幹前傾角度は少なくて済む。

一方で視点を変えると体幹が長い場合、体幹前傾角度に限度があるため、股関節を後方に引いて行うヒップドライブを利用するようなスクワットがやりにくくなる。

逆に膝関節を前に出し大腿四頭筋にフォーカスしたフォームはとりやすくなる。

つまり体幹が短い場合と比較し、相対的に大腿四頭筋などは鍛えやすいが殿筋群や脊柱起立筋群は刺激を入れにくくなる可能性がある。

体幹が短く下肢が長い場合のスクワットフォーム

体幹が短く下肢が長い場合

体幹が短いと重心をミッドフット上に維持するために股関節を大きく屈曲し前傾姿勢をとらなければならない。

そのため股関節伸展筋群や脊柱起立筋群の負荷は増加しやすい。

自然とヒップドライブを使うようなフォームになりやすいだろう。

逆に大腿四頭筋にフォーカスしたフォームはとりにくくなる。

円背高齢者は立ち上がりが大変
円背の場合

ちなみに余談だが、円背(背中が丸まっている)の高齢者は体幹が短くなってしまっており、立ち上がりが難しくなっていることが多い(もちろんそれ以外の要因も多々あるが…)。

円背で体幹が著しく短くなってしまい、ミッドフットまで重心を移動するのにかなり前傾しなければならない。

人によっては体幹を前傾しても十分重心が移動できず立ち上がることができなかったり、後方に重心が残るため立ち上がりの途中で後ろへひっくり返ってしまうこともある。

大腿長と下腿長の比率によるスクワットフォームの違い

スクワットは大腿が短く下腿が長い方が有利

大腿:下腿比とスクワットフォーム比較
※身長と体幹の長さは全パターン同じ
骨格によるスクワットの有利・不利
  • 有利:大腿が短く下腿が長い→下肢の屈曲↓・体幹前傾↓・しゃがみ幅↓
  • 不利:大腿が長く下腿が短い→下肢の屈曲↑・体幹前傾↑・しゃがみ幅↑

結論からするとスクワットに有利な骨格は大腿が短く下腿が長い人だ。

逆に大腿が長く下腿が短い人は不利になる。

上記の図は全て身長・体幹の長さは同じで、大腿と下腿の比率のみ変えてある。

見ての通り、大腿が短く下腿が長いと、股関節屈曲、膝関節屈曲、足関節背屈、体幹前傾角度が全て少なく、ちょっとしゃがんだだけでフルスクワットできてしまう。

一方で大腿が長く下腿が短いと股関節屈曲、膝関節屈曲、足関節背屈、体幹前傾角度がいずれも大きくなってしまい、より大きくしゃがまなければフルスクワットできない。

大腿が短く下腿が長い場合のスクワットフォーム

大腿が短く下腿が長い場合のスクワットフォーム

スクワットにおいて一番有利なのは大腿が長く下腿が短い骨格。

大腿が短いと重心をミッドフット上に維持するために体幹の前傾も股関節・膝関節・足関節の屈曲も少なくて済む。

当然しゃがむ距離も短くなる。

しかも膝関節・股関節に掛かるモーメントも小さくなるので負担が少なくフルスクワットが可能。

この骨格の持ち主は所謂”膝を前に出さないスクワット”も可能な場合がある。

しかし日本人はこの体系は少ないらしい。

正座したときに踵が余裕で殿部からはみ出ている人は下腿が長いかもしれない。

大腿が長く下腿が短い場合のスクワットフォーム

大腿が長く下腿が短い場合のスクワットフォーム

ご覧の通り、大腿が長く下腿が短いとスクワットにおいてはとても不利。

重心をミッドフット上に保つために各関節の屈曲角度は著しく大きくなる。

しゃがむ距離は長くなる上に各関節に掛かるモーメントも大きくなり、全身にとても大きな負担が掛かることとなる。

特に足関節背屈角度は正常可動域を超えてしまい、図のように膝を前に出せなかったり、踵が浮いてしまう場合が多い。

このような骨格の場合、所謂”膝を前に出さないスクワット”なんて物理的に不可能なことが多い。

正座したときに踵が殿部の下敷きになってしまう人は下腿が短いかもしれない。

スクワットに不利な骨格だった場合の対処法

対処法はいくつかあるが、実際はどれか一つというよりそれぞれを上手く自分に合わせ組み合わせて使用する場合が多い。

股関節を後方に引く(大腿が長い場合)

大腿骨がなくスクワットに不利な体型の場合は股関節を後方へ引く
股関節を後方に引く

左の初期の図は大腿が長い場合で、股関節と膝関節に掛かるモーメントアームの長さを均等にするようにしてあるが、見ての通り膝関節屈曲角度と足関節背屈角度がえげつないことになっている。

これだと足関節がきつくフルまでしゃがめなかったり踵が浮いてしまったりする。

まず対処法として考えられるのは、股関節を後方へ引く方法。

股関節を後方へ引くことで下腿が起き足関節の背屈角度は小さくなり、楽になる。

また膝関節も後方へ下がるため、膝関節屈曲が小さくなり膝に掛かるモーメントも小さくなり大腿前面が楽になる。

しかし、股関節屈曲角度と体幹前傾角度は大きくなるので殿部や腰部への負担は増える。

ヒールの高いリフティングシューズを使用する(大腿が長い場合・体幹が短い場合)

大腿骨がなくスクワットに不利な体型の場合リフティングシューズを使用する
リフティングシューズを使用する

足関節がキツイ場合はヒールの高いリフティングシューズを使用する。

ご覧の通りヒールが高くなることにより足関節の背屈角度が小さくなっている。

これで足関節はいくらか楽になり、膝を前に出しやすくなる。

体幹が長い場合もリフティングシューズを使用することで膝が前に出しやすくなれば体幹を起こしやすくなり楽になる場合がある。

股関節を外転・外旋しスタンスを広げる(大腿が長い場合・体幹が短い場合)

大腿骨がなくスクワットに不利な体型の場合は股関節を外転・外旋する
股関節を外転・外旋する

股関節外転・外旋することで、矢状面上(真横から見た状態)で大腿が短い状態を作り出すことができる(下記の図を参照)。

また全身で見ると、体幹が長く下肢が短い状態を作り出すことができるので、体幹が短い人にも有効。

股関節外旋・外転するとスクワットが楽になるメカニズム

この方法はスクワットで弱点になる大腿の長さを誤魔化し、あわよくばスクワットに有利な大腿が短い状態を作り出すことができる。

こうすると各関節の屈曲角度は小さくなり体幹は起きる。

そしてしゃがむ距離も短くすることができる。

ただし、これはスクワットが得意な大腿が短く下腿が長い人もできる方法。これをやれば差が無くなるというワケではない。

またこの股関節を外転・外旋させるという戦略は曲者で注意が必要。

大腿骨前捻角

大腿骨前捻角
大腿骨前捻角(水平面)

大腿骨は水平面(上から見た状態)で見ると少し前方に捻じれており、これを前捻角という。

大腿骨の前捻角が過前捻の人は股関節を外旋する余裕が無かったり、外旋することで股関節の不安定性が出たりストレスになったりして逆にスクワットがやりにくくなる可能性がある。

一方で後捻の人は股関節を外旋しやすい。

前捻角(後捻と前捻)による股関節外旋の違い
過前捻はじめから股関節が外旋した状態のため外旋の余裕が少ない

前捻角についてはクレイグテストでおおよそを調べることが可能なのでググってみて欲しい。

面倒な場合は、腹臥位(うつ伏せ)で膝関節を90°屈曲し、下腿を倒し股関節内外旋してどちらが可動域が大きいかを見ると何となく分かる。

内旋(大腿骨を外側に倒す)の方が明らかに大きく動く場合は過前捻の可能性があるかもしれない。

また胡坐(あぐら)よりも女の子座り(トンビ座り、アヒル座り、割座ともいう)の方がやり易いという場合も過前捻の可能性がある。

その場合、股関節を外旋するという戦略は合わないかもしれない。

大腿骨頚体角

大腿骨頚体角(外反股、正常、内反股)
大腿骨頚体角(前額面)

大腿骨は骨頭・頚部・骨幹部に分かれており、頚部と骨幹部のなす角度を頚体角という。

この角度が正常よりも大きい場合を外反股、小さい場合を内反股という。

外反股(頚体角が大きい)の場合は股関節外転も問題なくワイドスタンスをとれる。

しかし内反股(頚体角が小さい)場合は股関節を外転しワイドスタンスをとるのが厳しくなる。

外反股と内反股の股関節外転の差
内反股は股関節外転するためのスペースが少ない

頚体角はエックス線写真等でないと正確な角度を知ることは難しい。

もしも股関節外転可動域が小さかったりする場合はもしかしたら内反股かもしれない(ただ単に筋肉が硬いだけの可能性もある)。

スクワットに有利な骨格と不利な骨格

スクワットに有利な骨格と不利な骨格
  • 有利:体幹と下腿が長く大腿が短い
  • 不利:体幹と下腿が短く大腿が長い

スクワットに有利なのは、体幹と下腿が長く大腿が短い骨格。

不利なのは、体幹と下腿が短く大腿が長い骨格ということになる。

ただしこれは高重量を扱う上での有利不利。

ボディメイク系のトレーニングとしてスクワットを行っている場合は、少し違う視点で見るべき。

「自分の骨格はどこの筋肉に負荷が掛かりやすいのか?」

「自分の骨格ならフルまでしゃがむ必要があるのか?」

などを考えスクワットを行うべきだろう。

まとめ

ザックリ解説したが、結局何が言いたいかというと、トレーニングのフォームは四肢・体幹の長さの比率や骨・関節の形状など骨格によって大きく変わるということである。

これはトレーニングだけでなく、様々なスポーツや日常生活上の身体動作にも言えることだ。

今回解説したのは一部で、実際は他にも多くの骨格の個人差がある。

トレーニーなら自分の身体の特徴の理解に努め、それに合ったフォームを身に付けたい。

トレーナーならクライアントの身体的特徴をチェックし、個々に合ったフォームを指導できるように心掛けたい。

骨格に合わないフォームを無理やりやると身体に無理な負担が掛かり痛めやすいので注意だ。

自分が思い描いているフォームでできないときは、柔軟性だけでなく、そもそも骨格的に無理がないかを考えて欲しい。

アオクマ

とまあ偉そうなことを言いましたが私はまだまだ分からないことが多くサッパリです。考えれば考える程謎は深まるばかりで混沌の中です。

でも悲しいことに大腿が長く下腿が短いのは間違いなさそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください